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ロシアとチェーホフの郵便にまつわる短篇の話 - 2012.10.29 Mon

ロシアに興味を持ったのはいつのことだったか。私は子供の時からアクション映画やSF映画の類ばかり観ていたけれど、冷戦時代のハリウッド映画、またはイギリスの007シリーズなどはソ連のスパイが「敵」であることが多く、その敵である彼らは一様に無表情で冷徹で、なんだけど私は彼らに大いに魅かれていました。
また、高校生の時にお小遣いを貯めて分厚い世界遺産の本を買った時に、モスクワの赤の広場にある「聖ヴァシリー教会」を知りました。強烈な印象を焼き付けるあのカラフルな玉ねぎ頭の建築物。今でも不思議なんですがあの玉ねぎ頭は一体何なのでしょう?
このように「よく分からないけれど何だか魅力を感じるもの」が私にとってのロシア・ソ連です。よく日本の顔文字の一部になっているキリル文字も、シベリア鉄道に乗るにはトイレットペーパーを1ロール持参した方が良いという忠告も、ウォッカも、ゴルバチョフの頭の地図も。



先日、ロシアのペンパルと一緒に1日東京を巡ってロシア熱が再燃していたところに、偶然、友人がブログに沼野充義訳「[新訳]チェーホフ短篇集」の書評を書いているのが目に止まりました。これは読まねばね。早速図書館で借りて、読みました。



この本は短篇集なので、その名の通り短いお話がいくつか収録されています。読んでいて、昔、芥川龍之介の著作に夢中になって、繰り返し読んでいた日々を思い出しました。チェーホフと芥川が似ている点は、人間の滑稽な部分だとか物悲しい部分を鮮やかにいくつもの短篇に描き出しているところ。
この本に収録されている短篇の中では「ワーニカ」という話が特に印象に残りました。ワーニカは9歳の男の子。両親を失い、都会のお金持ちの家へ奉公へ出された彼は、奉公先でのひどい仕打ちに耐えられず、クリスマス・イブの夜に村の祖父へ宛てて「自分を引き取ってほしい」と助けを求める手紙を書きます。
この物語には「手紙」「宛て名の書き方」という要素が大きく関わっています。お手紙好きの人にオススメしたい話です。ちょっと可笑しく、すごく哀しく、残酷な話です。
この物語に出てくる「村のじいちゃんへ」(На деревню дедушке)という言葉は、この物語から派生した慣用句として現代ロシア語の辞書にも登録されているそうです(訳者の作品解説より)。どういう意味の慣用句なのか書いてしまうとネタばれになるので書きませんが、手紙にまつわる慣用句、興味深いです。ぜひ本を読んで確認してみてください。(ちなみに上の野帳に書かれている見よう見まねロシア語のスペルの間違いに今気付きました。後で直さなきゃ)

もう1つ、余談ですが、友人の書評を読んだ時、「奥さんは子犬を連れて」(子犬を連れた奥さん)、これもこの短篇集に収録されいてる1編ですが、この言葉に何となく引っかかるものがありました。チェーホフは読んだことがないのに、何か聞いたことがあるなって。それで思い出したのが以前観た「愛を読むひと」という映画です。
ケイト・ウィンスレットが主演のこの映画、舞台はロシアではなく1958年のドイツ。前半は「年上のオネエサンがいろいろ教えてあげる」的な内容で、そういう映画なのだと勘違いしそうになるのですが、この映画が主張したいのはそこではなく、むしろ全体的には文学的で重く切ないテーマを孕んでいます。
そのオネエサン(ケイト・ウィンスレット)と彼女より21歳も年下の15歳の少年。少年は彼女に請われて2人きりの時間にいつも本を朗読します。それら彼が朗読する本の1冊としてチェーホフの「奥さんは子犬を連れて」(映画内の字幕、またこれまでの一般的な訳では『子犬を連れた奥さん』)が登場し、物語後半でも重要な役割を担うのです。
「子犬を連れた奥さん」を先に読むか、「愛を読むひと」を先に観るか、どちらがいいかな。どちらにせよ、私はこういうことを気に入っています。「ノルウェイの森」を読んだ後に「グレート・ギャツビー」を読んで何重もの感動に浸るようなこと。


とりとめもない今日のブログ。
最後にそのチェーホフ短篇集の書評を書いていた友人のブログを紹介します。

Taku's blog
http://d.hatena.ne.jp/nakanotaku/

書評や映画評、英語の話題が中心。
いつも本や映画を選ぶ時に参考にさせてもらってます。

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● COMMENT ●

ありがとうー。すっごく嬉しいです。

拓へ

お返事遅れました!><

こちらこそ、いい本を紹介してくれてありがとう。
ブログこれからも楽しみにしてる!


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